ブックリスト

【やりたいことが分からない読書録】はじめに

 かなり前から、昔大量に眺めてきた本からいくつかをピックアップしてまとめるようなことをしたいと思っていた。その時期というのは大学一年生ぐらいの時で、毎日実験レポートと課題をひたすらやっていて、ふとこのままいくと数十年後全然面白くないことになりそう、って思った。
と言っても、じゃあ何をすればいいかはもちろんわからず、誰かに相談しようという感じでもなかったので、とりあえず本を読んでみることにした。元々本は嫌いではなかったけど、たまに小説を読むぐらいだった。高校生の時はブラックホールとか宇宙の本で数式があまり出てこないようなものも読んでいたかもしれない。

 というわけで、本に何かヒントを求めるのは初めての体験で、どこから手を付けたらいいかわからなかったけど、本屋さんでぱっと目についた自己啓発本のコーナーに行き、適当に何冊かかってみた。自己啓発本というと胡散臭いイメージだったのだが、そこに今必要なことがあるような気がするとそんなことは思わなくなるらしい。
ちょうど年度末のテストの時期だったので、午前中は勉強して昼からは本を買いに行くという生活になった。多分2019年の1月ぐらい。もしかするとその前からちょこちょこ見ていたかもしれないが、大体そのあたりの時期だと思う。しばらくすると自己啓発本やビジネス書のもう少し外側にある本も気になり始めて、適当にいろいろ読んでいった。10冊に1行何か引っかかるフレーズが書いていればいいなと思っていて、実際今思い出すのはそれぐらいな気がする。

 今回、そんなときに読んでいた本で印象的だったもの、そのエッセンスが次の一歩の方向を決める助けになるようなものをいくつか選んでみた。それらについて一つずつコメントしてみようと思っている。
当時も本屋で実際に自分で選ぶのとはまた別に、ネットでそんなときにお勧めな本を調べてみたりもしたのだが、そういうのは大抵役に立たない。有名で人気など定番のビジネス書ばっかりで、そういうのは本屋に行けば目に付くところに置かれているのですでに知っていたり読んでいる場合が多いのです。
しかも、今の自分の個人的な問題にピンポイントにフォーカスを当てたようなものは存在しないので、結局自分で探すしかありません。そこにあっても自分の問題には役立たなかったり、全く関係ないタイトルなのにその後数か月の救いとなるワンフレーズが乗っていたりします。その本の元々もコンセプトと別のところで感銘を受けることもあって、だから、狭くて深い悩みというか困難を抱えているときには、漠然とした内容の紹介や要約では情報量がゼロに等しい。
というわけで、今回は僕がそういう、一言で言うとやりたいことが分からないとかどういう風にこの先進んでいけばいいか分からない、という時にひとまずの指針が選られたり、こんな風に生きてみたい、これをすぐに生活に取り込んでみよう、というような意味で印象に残ってる本について書いてみる。

 まだ書いていないので最終的にどうなるかはわからないが、もう一度読み返してみて中身を一生懸命伝える、ということはしないつもりである。本は数万字の集まりで受け取るが、さっきも書いたように結局最後に残るのは一ページあるかどうかで、でもそこに書いていたことだけは数年たっても残り続けている、そんなものだと思っている。
だから手あたり次第読み散らかしていた時から5,6年経った今、そのタイトルを見て思い出すことだけで書き進めていく。その本の主張とは全然違う受け取り方をしているかもしれないし、なんなら関係ない話にもなるかもしれない。分かりやすい本の紹介や内容の解説というよりも、今何をすればいいのか全く分からないという状況にある人間が、その本から読み取ったことと、その周辺の生活について書かれるイメージである。途中で変わっているかもしれませんが。

1,『私の財産告白』 本多静六