個人が気付きを得る道筋と、それを再現性を持って他者にそれを促すルートは異なる。
というのは、誰かが何かの発見や気付きを得たとして、
それは例えば「文章はこうやって書けばいいのか」とか「こんな風に日常を過ごしていくと面白そう」とか人生についての考え方なども含めて何でもいいのだが、
そういう何かしらの領域においてある気付きを得て、それを体現していく、という姿があるとき、それをそのまま伝えることがほかの誰かに同様の気付きをもたらすとは限らない。
なぜならそいつの気づき方はそれまでのそいつの人生経験を経た上でのある種の到達点であり、同様の体験や認識を持たない誰かにとって適当な道であるとは言えないから。
だから人にその気づきを共有したい時、そこに至るまでの自分の体験をそのまま伝えるのがいいとは限らない。
もちろんそれを伝えることが気付きをもたらす場合もあるにはあるが、より適当なのは「再現性をもってどんな観念や認識の人でもその地点に至ることができるルートを、気づいた立場から整えて」提供することである。
ここでいくつか考えておくことがあり、まずはどんな観念や認識の人でもといったが、これは正確ではない。実際には「どんな」にしてしまうと人類すべてになり、そこに全く共通する観念を拾ってくることは基本的には出来ない。
それは人類が普遍的に持つ観念となってしまい、それがあるのかどうかも知らないが、ここで議論したいことではない。
つまり、「どんな観念や認識を持った人に対してどんな前提でその話を共有しようとしているのか」をまず最初に考える必要がある。
考えるというよりはそれは送り手側が自覚的でありたいということ。
その上で、その共通の認識や欲望を持った集団に対して、より再現性のある、効果的なロジックを積み上げていくことになる。
例えば、所有と存在の問題に関して、「もつこと」よりも「そうあること」の方が気持ちがいいという気付きがあったとして、それを誰かにも同じように気付いてもらいたいと思ったとして、
その最初の気づきは通常、そいつ特有の人生経験によってもたらされるものである。
だからきっかけとなった体験はあげられるかもしれないが、その体験がきっかけとなり得たのは、それ以前の思考や認識や世界観があってこそであり、
それを持たない誰かにとってはその体験そのものに価値があるわけではない。
じゃあどういうアプローチになるのかというと、
この気付きというのは半ば自然発生的に感覚的に起こってきたものであるが、気づいた立場から見て「ロジックとしてそこまで登ってこられるような道筋」を考えるのである。
つまり、最後は思考云々ではなく気づきとして身体感覚的に肚での理解、まさに腑に落ちるところまでいってほしいわけだが、
あとは切っ掛け一つでそこに至るという手前ギリギリ直前にまで”論理によって”ガイドする。
この所有と存在の話で言えば、これまで人類がこの問題についてどのように考えてきたのかという歴史を語るなどがそれにあたる。
と言ってもこれは歴史の授業でも勉強でもないので、(本当はそんなものもないが)客観的なストーリーを共有するわけではなく、その気づきに近づけると思われるルートになるように話し手が編集する。
だから伝える側から見て、「こういった観念や認識があると思われる人にとってはここまでは理屈で共有できるであろ」というラインを丁寧に見極め、それに基づいたロジックを提供することになる。
例えば、「知識は必要ない」という主張があったとして、それは知識が必要だと思ってる人には伝わらない、
その際には「これでもかというほどの知識」によって、知識が必要でないと気づかせるのがそこで提供される論理の役目である。
そんなわけでこの文脈での話し手や書き手には、
「当人の気づきの道とは全く異なるが、ある認識や意志を持った人々に対して再現性高く同様の気付きを促せるであろう道筋」を「気づきではなく思考や論理によって整え提案すること」が求められる。
現在、やりたいことや没頭できることがなく、でも何からやればいいかわからないという、人生と向き合い中な方向けに
●客観的な幸せや豊かさではなく、自分のコアや方向性を見定める
●ゼロヒャクのおもんなくそ真面目二項対立思考を手放す
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