前回まで
▶高校の間はキャリア形成のためにひたすら勉強するしかないのでしょうか?【人生の軸Q&A⑤】
▶「やりたいことが本当に自分がやりたいことかどうかはどう判断するのですか」【人生の軸Q&A⑥】
▶進学先を選ぶとなるとどうしたら良いか分かりません。軸を基準とした、「この大学に行くことが自分の人生に絶対必要だ!!」と言ったものを持っていません。【人生の軸Q&A⑦】
質問
数日ぶりに質問です。自分の軸はなんとなーく掴めてはきました。「知性」と「具体化欲求」の二つです。
今まで「具体化欲求」を「創作欲」と勘違いしていました。やりたい事も、いくつか出てきました。ですが、疑問点があります。例えばスティーブジョブズやイーロンマスク。彼らは、強い目的意識があって、自分の軸から動いているように見えます。同様に、高本さんやその他の人間も。社会的な影響力の大小に関わらず、自分の心からやりたい・叶えたい事を精力的に取り組んでいる人間は沢山います。
確かに自分にも軸かもしれないと思うものや、やりたい事が多少ならずとも出てきました。しかし、彼らのようにそれだけに全力を注げるかと言われればノーです。現に、今自分はやりたい事をせずにネットサーフィンなどの刹那的な快楽に呑まれていました。彼らと僕は何が違うのでしょう?やりたい事をできる金と時間の自由度?学校、会社などの義務からの逸脱?
また質問です。とりあえず、自分がやりたい事やら自分の人生の軸やらを探していたのは、「それを使って何者かになりたかった」「金が欲しかった」からだと気づきました。で、そこで実利を捨てた基準で自分のやりたい事を探ると結構出てきて。「ドイツ語」カッコいいなぁと思ったり、「虫飼いてえ」と思ったり、「3Dモデリングおもろw」と唸ったり。
ですが、実利を求める欲求は変わらずあるわけで、となるとやっぱり大学に行く必要があるわけです。理想では、自分のやりたい事を自由に発信していたらいつの間にかお金がガッポガッポwやべーwみたいなのが良いのですが。
質問
自分には現在「お金が欲しい」という欲があり、「知識が欲しい」という訳ではありません。だから大学に行く理由を見つけられない。短期的な展望でお金が手に入る「ブログ」や「YouTube」をやった方が良いのではなどと思う。「これを知りたい」を探すにはどうしたら良いのでしょう。
お久しぶりです(数日ぶり)。突然ですが、高本さんにご報告と感謝です。
ついに自分の軸を言語化できました(と思う)。以前も創作云々言ってたと思うのですが、「どんな創作?」「その共通点は?」と深掘りしていったところ、「情景や感情、ワクワクする空間・物語を、追体験できるほどに具体的に創りたい」でした。具体例を示すなら、マイクラとかの創作や3Dモデリングなどが性に合っていたのですね。
自分の軸がはっきりと定まったので、やるべき事・やりたい事もどんどん見つかりました。めっちゃ助かりました。これからも質問をするかもしれませんが、とにかく軸を見つけるという目標を達成できました。本当にありがとうございます!
返信
あれ、お昼ごろの疑問は解消できたんでしょうか?軸が分かったのなら何よりではあるんですが笑一つ目の質問の回答はさっき書いてたので、一応送らせてもらいますね、もう大丈夫だったらスルーしといてください。
やっぱり創作なんですね、その中でもご自分で具体的なところまで言語化できたようで、良かったです!また何か困ったことなどあればぜひ質問してください。
あともしよければ今回のやり取りをブログかLINEでちょっとまとめて他の人にも共有して参考にしてもらえたらなって思うんですがどうでしょう。個人名やその他配慮が必要な箇所などあればもちろん対応します。
とにかくこの数日間お疲れさまでした、ちょっとゆっくりして創作を楽しんでいきましょう!
まず一つの目の質問から考えてみましょう。
彼らと僕は何が違うのでしょうか、ということですが、僕は金と時間の自由度は根本の原因ではないと思ってます。確かに金や時間でできることの規模は変わってきますが、やりたいことというのは「それをしてる自分として過ごしてる」ってことなんですね。そうやって時間を過ごすのが嬉しいってことです。ジョブズやイーロンマスクのことはそこまで深く知らないのであれなんですが、でもジョブズも最初はガレージで友達とプログラムを書いてたって話は有名ですよね。昔所ジョージをよく見てた時に、ちょっと細かくは覚えてないんですが、「アメ車が欲しいからってアメ車買って駄目で、普通の車でもアメ車に乗ってるみたいに過ごすんだよ」みたいなことを言ってました、ちょっとうろ覚えすぎて伝わる気がしないので補足しますがw、これは「やりたいことをそのままできないからすり替えて何とか満足させる」ってことではないんですね。自分の体感がどうなってるかです。
例えば僕はキャッチボールとドッチボールがめっちゃ好きなんですが、ってなると5分近所で壁あてするだけでめちゃくちゃ気持ちのいい時間なのです。別にいいグローブが欲しいのではないし、メジャーリーガーに向かってボールを投げたいのでもなくて、ただボールを投げてまた帰ってきてキャッチする、という時間を過ごしたいんです。この前畑をやりたいと思ったんですが、僕は畑を持ってません。それで金がないから無理やんって昔は思ってたんですが、先月ちょっとどうにかできる方法ないかって考えてたんですね。で、色々調べてみると、近所で市民農園があるらしいことが分かりました。でも入会金やらレクチャーやらでややこしかったので他の方法をちょっと探してみました。するとまた近所で厳密には畑ではないんですがそれにかすってそうなバイトを発見しました。で、速攻応募したんですが年度の変わり目で人が集まったようで採用はされませんでした。で、もう一回調べてみると、畑の手伝いの募集を見つけました。なので行ってきました。雑草を抜いたり、鍬とか耕運機で耕したり。
すると僕は、畑をやりたいと思っていて、畑をやってる時間を過ごせたのです。一日24時間のうち、2,3時間を畑をやってる人として過ごせました。確かに自分の土地があればいいなと思いますが、でも今の時点でいきなり広大な土地があっても僕はどう運営すればいいのか分かっていません。だから今手元にあってもどうしようもないんですね。これは漠然と畑をやりたいでも土地がないから無理だって思ってるときにはその具体度では考えてないんですね。じゃあお前今から100ヘクタール上げるけどそれですぐ動けんの?って言われるとどうにもなりません。つまりやりたいとか言っておきながら全て完璧な環境があっても僕は動けないことになります。何をしていいか分からないのです。つまり、金や時間がないと思う時には、じゃあそれが全部あったら今すぐ実行できるのか?と考えます。
例えばイーロンマスクなら火星に行く話をしてたと思いますが、僕が仮に火星に行きたいと思っていたとして、でも時間と金がないからなーって言ってたとしたら、時間と金を考える前に、今エンジンを開発してないとおかしいです。宇宙開発の歴史を調べまくってるでしょうし、モデルロケットを作ってないとおかしいかもしれません。CADで設計して3Dプリンターがあれば作れるわけです。その作り方も知らなかったら?それはロケットの基礎の基礎から勉強する必要があるでしょう。時間や金が足りないとかの前にやってないとおかしいことが死ぬほどあるのです。それがやりたいってことなんだと思っています。つまり、外側が追い付いてくるのはいつでも後からで、先にそういう自分として過ごしている時間があるんですね。やりたいではなくて、もうやれている、あとはそれを大きくしていくだけ、という状態でしょうか。
で、じゃあそれは分かったとしてでも現実問題としてネットサーフィンしてたりショート動画をダラダラ見てしまったりすることはあるかもしれません。それは2つあると思っていて、まず一つはそれが本当にやりたいことなのか、ということ、で、これを考えるときは、コーチング的な発想なんですが、現状の延長線上にないゴールであるか、というのがあります。これも説明しだすときりがないんですが、今のまま過ごしても出来そうなことには力が出ません。今のままでいいからです。そのままでは絶対不可能なゴールを描くから現状との間を埋めるために脳がフル回転して、それまで気づけないものに気づけたり、今こんなことしてる場合じゃないって思ってきたりします。これはブログのQ&Aの記事に昔書いた気がするのでそっちか、コーチングとかの理屈をちょっと見てもらうと、イメージしやすいかと思います。これはゴールの抽象度ということになるんですが、昔サイモンシネックという人がTEDで why から語れという話をしていました。優秀なリーダーはそうなんだと。ジョブズもそうです。アップルのCMはダラダラ商品の説明をしたりはしません。
昔think different というキャンペーンを打ち出したことがあったんですが、つまり、普通の違う風に考える人が世界を変えるってメッセージです。そこでジョブズが語ったことで、「アップルはただ仕事に役立つ箱を作ってるのではない、それ以上の何かを作っているはずだ」って言ってるんですね。信念です。なぜそれをやってるのか、というジョブズの答えです。つまりこっち側で見える行動のもっと上の抽象度で見てるものがあります。それをこの三次元の世界の行動に落とし込んできたときに、パソコンを作る、となってるだけですよね。これもさっきの現状の延長線にないゴールです。情熱を持った人間が、クリエイティビティが世界を発展させる、人類を前進させる、それを助ける道具を作っていたい、だからmacを開発しているって流れです。厳密にはジョブズではなくアップルの話ですけども。これは昔レポートに書いたので、それの途中のところを見てもらえればと思います。
イーロンマスクならたしか子供の頃SFを読み漁っていて、そこで描かれているような現代人には現実と思えないよな景色を見てるんでしょう。火星移住もその一つのはずです。孫正義なら300年続く企業を、とか言ってたと思います。全部今のまま生きてたら無理なわけですよね。それを思い描いた瞬間にやりたい知りたい動きたいことが山ほど出てきます。それがそういった人々を動かす力の一つではあると思います。
ただ、実際にはもう一つあると思っていて、つまり、そういうゴールやビジョンは描いたうえで、でも現実の自分を動かしていく必要があります。理屈としてはそういうゴールを掲げてると今の状態に違和感が生まれて勝手に動き出すわけですが、実際には、短期的に楽な方向に流れることは大いにあります。それは人間なので仕方ありません。特にSNSやアプリはいかに長く時間を使ってもらうかが勝負なので、頭のいい人が全力でこっちの注意を奪い気持ちよくなるように設計しています。だからそこは夢ややりたいことの話とは別にいかに自分をコントロールするか、という技術が必要になってきます。受験勉強するときのような感じですね。
僕は一日の中で何に何時間使うか、というのを大体決めています。常に今の時間と自分の行動を記録していきながら、後何を何時間ぐらいやるというのを把握して進んでいきます。だから例えば文章を書くので言えば毎日6000文字ぐらい書きます。大体2,3時間ぐらいです。あとはギターも1.5~2時間ぐらいです。他もいくつかあります。もちろんその通りにはいきませんが、少しでもそう過ごした一日を過ごすために確立を上げるためにできることは頑張ります。ある程度行動を記録していくと、どんな時にどんな感情になりどんな行動をとりやすい、というのも分かってきます。ご飯食べた後は眠くなりやすいからそこに頭使うことは持って行かないようにしようとか。学校が8~9時間で睡眠時間が9時間とすれば自由に使えるのが6時間で、ご飯の時間などを考えると4時間とかですかね。そこでどうやってやりたいことを進めていくか考えていくわけですね。
これは基本中の基本なんですが、今の時間の使い方をなるべく詳細に書きだします。で、無駄になってる部分削りたい部分はどうすればそこがなくなるか考えます。例えばご飯食べた後自動的にスマホ触ってそのままだらだらようつべ見るとかだったら、アプリを消してブラウザからしか見ないという工夫も出来ますし、ご飯食べたら速攻散歩行くとか、スマホは一定時間ロックがかかる箱に封じ込めるとかもできます。箱の話も昔記事を書いた気がします。そうやって悪習慣を取り除いて、そこに何の時間を持ってくるかということになります。僕が学生の時はギターを始めたので、でも学校終って帰ってくると10とかだったりしたので、平日はチューニングだけしたり、コードの抑え方を音を鳴らさずに確認だけしたりしてました。機械学習にはまってた時は早めに帰ってきて3時間ぐらいやったりしてるときもあったと思います。だから意志力とは別に現実の話としては自分をいかにコントロールするかということも重要です。これは今までテストや受験勉強の中で自分なりの方法ができつつあったりすると思うので、自分がうまくいってるときのパターンを応用できないかとか考えながら、どうやって自分を動かしていくかいろいろ試していくんですね。僕は大学受験は浪人含めて二回あって、卒業論文を学生の時と大学院生の時で2回書いてるので、自分はどうやってサボろうとしてどう仕向ければちゃんと動くのか多少は分かりつつあります。それは普段から行動を記録したりとか自分の感情とかやる気のリズムを観察してると法則が見えてきたりもします。
だから違いというかここでポイントになってそうなのは、金や時間に関係なく今の自分のままでできる方法を探そうとしているか、現状の延長にない場所を志向しているか、自分を動かすための工夫を繰り返しているか、ということになるんじゃないでしょうか。1つ目については、すでに全部必要なものはそろっている気づいてないだけ、という感覚ですかね、2つ目は注意が必要でなんでもかんでもそんな壮大なゴールが必要とは思ってません、ギターとか機械学習とかやったときにはただおもろそうだったから名だけでそんなことは考えてません。ただ、ギターや機械学習をやってみようとしたのは、それらをやらずに数十年経った未来を想像した時に絶望的におもんなかったからです。そういう意味では未来側からの作用で動いてると言えなくはないんですが。3つ目が現実問題としては多分一番大事です。やりたいことがある領域については毎日の分量を決めてそれをちゃんとできるためにはどんな仕掛けが必要なのかと環境側から自分の行動にアプローチする感覚です。僕はそんな風に思っています。
質問への返信への返信
どうぞお好きにブログにまとめてくださいすみません、昼頃「俺が本当に質問したいのはこれなのか?」と推敲しまくってたので何度か送信を取り消してました。謝罪終わり。
しっかりと回答していただきありがとうございます。今回の回答読んでみました。自分なりに考えると、「結果である点に向かって現状の原点から線を伸ばすのではなく、面(立体)である現在の状態の拡大の先に点(結果)がいくつも含まれている」と言いたいのだろうと捉えてみました。
めっちゃ抽象的ですけど、個人的に数学的でかっこいいと思ったのでこれで。そして「面(立体)の拡大」、状態を作り出すには未来どうなっていたいか(どうなって欲しいか)から逆算して今を考えると。そして、その未来は今の状態の継続、つまり努力しなくてもできるものではいけない。と、いう事ですね。軸は見つかってハッピーだったのですが、現状でもできる事や現状やりたい事から未来どうなっていたいかを想像していたので、将来の夢が見つかっていませんでした。本当に参考になります。
そしてやり取りをブログにまとめるという話ですが、むしろ本望と言いたいところです。実を言うと、昼頃その文を一度打ち込んだのですが、「いやーなんか俺をブログにまとめろって言ってるみたいだな」と一度消したんですよ。ですので、僕自身全然構いません。むしろ、「いつかこの体験から得た知識を皆んなに教えたいなー」なんて考えていたので。どうぞ、お好きにブログにまとめて下さい。
さらなる返信(高本)
ブログの件ありがとうございます、よかったです。また頃合いを見て記事にしていくと思います。
ぜひまたご自身のことが落ち着いてきたら、これから取り組んでいくことも含めて次の誰かに伝えてあげてください。高校生のこのタイミングでこれだけ悩んだり考えたりしてきた人にしか話せないことはあって、かつそんな人の話だからこそ希望を見出せないという人もまたどこかにいます。そしてそれが自己実現と他者貢献を一致させていく、ということだと思っています。
未来にどうなっていたいかという話も出てきましたが、その未来は自分だけの欲望ではなくて、もっと抽象度を上げて自分以外のみんなも嬉しくなることが含まれているのがいいだろうということです。だからこそより大きなエネルギーが湧いてきて、さらに前に進めるのだと思います。
さっきの質問で書こうとしてやめたのがあって、それがモチベーションの話です。ある論文の中で人のやる気に関わるのは、autonomy(自律性)、competence(有能性)、relatedness(関係性)の3つと言われています。自分でコントロールしてる感、自分の能力がうまく発揮されてる感、で、3つ目に、自分と周りが相互に関係しあってる感です。こうして質問をいただいてることも僕にとっては relatedness に影響してるわけですw
そんな感じで自分のやりたい方に進みながらもそれが周囲の人々の何らかの喜びになってるような、上手くエネルギーが循環しているような、そんなゴールや在り方をすぐに答えは出なくても、少しずつ考えていくといいのかなって思います。数学的な解釈もいい感じですねw