人生とか楽器とか文章を書く事について、「○○は必要ない、そんなんしなくていい」とかいう人はいっぱい見つかるが、
そういうのは結局、本人もそうやってやってきたのを経て「いまは」いらないと思っている、ということでしかない。
ここで注意が必要なのは、今はいらないの「今」はちゃんと言うと、
「(初心者の人がこれからやっていく上で)○○はいらないと今は思っている」ということ。
つまり、その人たちは、「僕には今は必要ない」ではなくて、「あの頃にあれをやってたが今考えれば別に必要なかった」という意味で言ってる。
でもそれは大きな落とし穴というか勘違いがあり、確かに今考えたら必要ないと思ったのかもしれないが、
今考えて必要ないと思えたその今は、「過去に○○を必要と思って取り組んでた時代」があるからです。
一回そこを通過してるからいらないと判断できたわけで、もっと言えば、それについてはいらなかったかもしれないが、
その他にも、同時期に学んだ概念や取り組んだ領域、身につけた技術のようなものがあり、
そのうちのある部分は「今考えても必要だった」もので、ある部分は「今考えれば必要ない」ものだった、ということになるわけですが、
それが今振り返って必要だったのかどうかはその今になってわかる結果論でしかなく、
必要か必要じゃないか分からないなりにやったことの積み重なりとして、○○が必要か必要でないか判断できるそいつが出来上がっている。
さらに言えば、それが必要なかったのはそいつの趣味嗜好、感性だから、という部分も大いにあり、だから○○は必要ないと言う側は別にそれでいいんですが、それを真に受けて、
いや、真に受けることもいいんですが、真に受けすぎて、他にも「△△は必要ない」とか「□□は必要ない」というものまで集めてこようとしだすとこれはかなり危険で、
なぜ必要でなぜ必要でないか判断できる力がないうちは目についたものからひとまず全部引き受けていけばいい。
もし他にもいろんな「○○は必要ない言説」を見ていくのなら、集められるだけ集めてそれぞれなぜ必要ないと言ってるのか全部確認して精査した上で、
自分の答えとして自分なりの「○○は必要ない」という暫定の結論を出すしかない。

