人生の軸を見立てる

【人生の軸】究極的には人間が自分の人生を生きていこうとしたときに障壁になってくる概念に到達するはずです。【Q&A③】

人生の軸のワークの統合の例【Q&A②】

の続きです。

人生の軸のワークについて、読者さんからもらった質問と僕の回答です。

具体的な事例として、参考にしてもらえたらと思います。

前回は、これまでの人生のグラフにしてその山と谷で起きたイベントを全部書き出し、そこに共通する要素を統合していく、という話でした。

「前回まででいくつかのキーワードにまとめられたが、その後どうすればいいか」

というのが今回の内容です。

どう抽象化していくかという話も具体的にしてるので、自分の場合に置き換えてぜひ考えてみてください。

Kさんの返信と更なる質問(要約)

「補足資料もこれだけの分量で作成していただき、ありがとうございました。かなりイメージが湧きました。

人生のフェーズにおけるキーワード(KW)を見直してみたところ、上昇フェーズには「仲間」「挑戦」「わくわく」「家族=愛」が、下降フェーズには「孤独」「何もない日々」「憎しみ」が現れました。

特に大学時代やコミュニティに参加していた時期は上昇していましたが、孤独や変化のない日々が続くと辛くなり、今もそうなりつつあります。

こんなKWが出て来て、じゃあ、日々どういうふうにこれから行動していくべきか?がなかなか進んでいない状況です。」

返信

こんにちは、高本です。

一応キーワードは出せたけど、そのあとが難しいということですよね。

実は今の段階からもう一つ抽象度を上げて統合出来るといいんですが、そのやり方がしっくりこなかったりうまくいかなかったりするかもしれないので、それとは別の考え方も紹介してみます。

出来れば両方やってみてもらうのがいいかと思います。

①すべてのキーワードを更に抽象化して統合する

一つ目は実際に僕がやったことで、ここまでワークをやってもらって出てきたキーワードを全部ひっくるめて統合するというやつ。つまりそのキーワードすべてに共通するフレーズとか概念を考えていく。

これはすごく抽象的で、他の人にとってはただの一般的な概念に感じられる、でも自分にとってはその言葉だけですべて意味が分かる、自分が絶対に守っていきたい価値観、みたいなニュアンスになってくると思います。

一般的な言葉を自分の言葉で再定義することの例

具体的な考え方はこの後説明するんですが、僕が一緒に南米に行った友達の例が参考になるかもしれないのでその話を少しだけします。

その子はがっつりこういう形でワークをしたというわけではないんですけど、でもその友達なりに僕たちと同じようにしんどい時期があって、それをめっちゃ考える中で言語化していくと「これや!」っていうのが分かってきたみたいで、それが「本能」らしいんですね。

その友達が言うには、生まれた直後はまっさらで本能100%の状態。でもこれが成長して大人になるにつれていろんな知識や情報が入ってきて純度が落ちていく。だからこれを取り戻したり感じたりしたい。

だからいろんな国を旅してるらしいんですね。外国に行って、今まで経験したことのない環境に身を置いた時に、それまで日本で生まれ育って培ってきたものが一瞬で無意味になって、その瞬間の判断で動かないといけない状況が出てくる。ちょうどそこに純度100の本能があるんじゃないか、みたいなことを思って旅してるらしくて。

だから部族を巡って、1000年以上続いてきたような当時のままの暮らしが残ってるところに入っていきたいということなんですね。そのあたりに人生のテーマがあるというか。正確にはちょっと違ってるかもしれないんですが、話してる感じでは多分こういうニュアンス。

この場合でも「本能」って別に誰でも使う言葉ですけど、そこにその人なりの文脈があるというか、自分だけの言葉として再定義された「本能」であるというか。

僕のブログは全体として「人生をちゃんと遊んでいこう」みたいなテーマになっていて、その中身は「感覚と行動を一致させる、そんな自分を起点にエネルギー循環を起こす」というものなんですが、

僕個人としてはもう少し意味が乗っかっていて、常に自分に対して「今人生ちゃんと遊べているか?」って問い続けることで、少なくとも間違いではない方向に微調整していける、そんな感じなんですね。

あとこれは直接は知らない人なんですけど、聞いたことあるのは「オッケー」っていうもので。生まれたときはオッケーだったけど、それがだんだんオッケーじゃなくなっていく。

だから「オッケー」か「オッケーじゃないか」を気にしていくと、自分の人生の主導権を握っていけるって人もいたりとか。

で、メッセージの方でキーワードが僕のものと似ているということを言われていたと思うんですが、基本的にはそうなってくると思います。

自分にとって重大だったイベントに共通するものを抽象化していくので、究極的には人間が自分の人生を生きていこうとしたときに障壁になってくる概念に到達するはずです。人間本来の欲求というか。

マズローの欲求5段階説でいうと、自己実現の欲求に関連した概念とか価値観。一番抽象度を上げた山の頂上では同じものなんですが、それをどのルートから登っていくか、どんな言い回しが一番しっくりくるか。

そこが人によって変わってくるというイメージでもいいと思います。「ちゃんと遊ぶ」も「感覚に従う」も「本能を取り戻す」も「オッケーかどうか」も、全部抽象度を上げると同じことを言ってると捉えれば、考えやすいかもしれないです。

具体的な方法論

で、ここからようやく一つ目の方法というか考え方に入っていくんですがw、これは谷のところのイベントとか今出してもらってるキーワードから考えるのがいいと思います。

山と谷は基本的に裏表の関係になっていて、山側の状態になれていない根本的な原因が、谷のところに現れてるはずなんですよね。

Kさんの今のKWで言うと、”孤独”と”仲間・家族”は対になってそうですよね。”鈍行の旅で新しい世界に触れる、立ち入る”、これと”何の変哲もない日々”。

これも恐らく対になってますよね。だからここまでやってもらった方向性としては順調で、あともう一歩、もうひと段階抽象化してまとめることができると、もっとエネルギーが湧いてくるはずです。

そのために谷の方に着目してみます。「孤独」と「代り映えのない・同じ繰り返し」的な感じになってると思いますが、これをもう一歩深堀したくて。

つまりそれになってしまってるときの自分はどういう状態だったのかを考えてみてもらいたいんですね。言葉としては孤独だったりルーティン的な日々と言っても、これが抱えてる情報って僕とKさんでは違うはずですよね。

僕もキーワードとしては似たような要素があるんですが、僕の場合はこれも「頭でっかちになり、感覚に素直に動けていない」ときに、孤独にもなるし同じ繰り返しの日々にもなるって解釈します。

つまりこういう状態にあったときに、Kさんがどんな振る舞いをしていたのか、そこにヒントがあるはずって考えればいいんですね。何が結果として孤独という状態を引き起こしたのか、もしくは何が引き金となってそこに向かうことになってしまったのか。

それは客観的な出来事とか事実というより、Kさん自身の内面の抽象的な課題というイメージで考えてもらうのがいいと思います。代り映えのない暮らしという部分についても、何がその状態にさせたのか、どんな意思決定をしたことがそれを現象化させてしまったのか。

あの時にこういう考えでこういう選択をとってしまったからそうなった、みたいなものがもしかしたらあるかもしれません。そのあたりを考えてみてもらうのがいいかと思います。そしてそれは山側に向かっていく時、傾きがプラスに変わっていく時には、出来ていたことなんじゃないかと思います。

人生を一つのストーリーと捉えてみると、、、

ちょっと話がずれるんですが、小説とか映画とか漫画の物語って簡単に言うと「困難なゴールに到達しようとするキャラクターに降り注ぐイベントによって、その人物自身がどう変化するかを表現したもの」って言えるんですね。

で、そこにはほぼ確実に、内面的な課題と向き合う場面が来ます。そのイベントを通して内面的な課題や障壁が突破されることで、ゴールへと近づいていくわけです。

これがどの物語にも必ず含まれる”葛藤”というものですね。好きな漫画とかを想像してもらっても絶対にあると思います。進撃の巨人でもハンターハンターでも。

逆に言うとこれが描かれていなくて、外面的な問題ばかりを扱うと深みがなくてつまらないわけです。何よりも根本からの解決にはなりません。その場しのぎというか、またそれと向き合うことになるイベントが発生するに決まってます。

これは人生でも同じだと思うんですね。人生も自分を主人公とする物語ですので、それぞれのイベントに関しても、その内面の課題を一時的に解消できたときに山側になっていたり、もしくは逆にその問題から逃げたり、そもそも問題だと気づけていなかったことで谷側になっていった、ということが恐らくあるはずです。

僕で言えば感覚に従うとか、頭で考えすぎないとか。これのせいでずっとギターやりたくても出来てなかったし、友達に誘われることがあっても断っていたし、それが結果として「充実してない今日」を引き起こしていました。

逆にそのポイントに気づけてからは宮古島で野宿したり南米に行っていろんな部族を訪れたり、という機会が生まれていきましたし、今もこうして発信してるのも元々はそういうところからきています。

つまり抽象的で内面的な課題を通して、これまでのKさんの人生において大きな意味を持つイベントを解釈できるということですね。そしてそれが分かれば、これから目の前に立ち現れてくる選択に対しての振る舞い方が決まってくるのではないかと思います。僕はそれが人生の軸だと解釈しています。

②コーチング的なゴールの考え方

これが一つ目の方法で僕が一番しっくり来たものなので、こっちでうまくいくといいんですが、もう一つ知っておいてもらうといいのかなというのがあって。

というのも、まあ本当にしっくりくるものが見出されると、今日からの行動とか選択基準がもうがっつり変わっていく可能性が高いと思うんですが、でもひとまずどういうことをやっていけばいいのかわからないという場合もあるかもしれなくて。

なので、コーチング的なゴールの考え方を紹介したくて。この考え方でうまくゴール設定できると、自分にとって重要な物の順位が入れ替わって、今の自分に必要なものが自然と見えてくるんですね。むしろそれしか見えなくなるというか。

実際は一つ目のものと全く関係ないこともないんですが、ちょっとあんまりこの時点で前置きしすぎてもややこしくなるので、とりあえず基礎的な話をいったんしてみます。

コーチング的には、ゴールは「現状の延長線の外側」に設定します。つまり今の自分には到底達成できないように思えて、その方法もルートも何も見えないぐらいの大きなもの、抽象度の高いもの。現状の延長にあるゴールは、この意味では正しいゴールではないということになります。

サラリーマンにとって「社長になる」というゴールが不適切である理由

よくある例えだと、サラリーマンの人が「社長になる」というゴールを持つという場合。この人にとっては、社長になることは難しいかもしれないけど、でも今の会社でめっちゃ頑張れば可能性は全然あるわけですよね。

だからこれは現状の最適化でしかなくて。ということは言いかえれば、今のままでいいということになってしまいます。ここで、コンフォートゾーンという概念がありまして。

これは、そもそも生物には体温を常に一定に保つという機能があるわけですけど、これが精神的な部分にも適用されるという考え方ですね。つまり今の自分に心地いい状態があって、それがコンフォートゾーンであって、その外側に出ようとすると強烈な引戻し現象が発生するということ。

新しい挑戦をするときには不安があったり、だからこそ今のままでいいかとも思ってしまったりするわけですが、これは今の快適なゾーンにとどまりたい、そこから出たくない、ということの現れですよね。

このサラリーマンの例だと「社長になる」というゴールを設定すると、今のままのルートでいい、という形で現状を肯定するわけなので、コンフォートゾーンの外に出ようという力が出てきません。何も変化が起きなくていいということになります。

一方、現状の延長線の外側に本当に到達したいゴールを据えると、そこと現状とのギャップに違和感が生まれて居心地が悪くなってきて、今のコンフォートゾーン内にとどまるのが嫌になります。「どう考えても今こんなことしてる場合じゃない!」という感じ。

現状の延長線の外側にゴールを設定する理由

現状の延長線の外側にゴールを設定する理由のもう一つは、スコトーマ(心理的盲点)という概念で説明できます。これはブログにも書いたことあると思うんですが、人は視覚から常に大量の情報が入ってきています。

でも映像はとんでもない情報量なので、これが毎日何十時間も来てしまうと、通常は脳がパンクするわけです。なので、脳は重要なもの以外は認識しません。これがスコトーマですね。

例えば、何回も通ったことのあるなじみの道で建物が壊されて更地になっていた時に、もともとどんな建物があったか思い出せなかったりしますよね。郵便物を出す機会がないと、近所でポストがある場所を思い出せなかったりもしますよね。

これらは普段はたいして重要じゃないから、見てるのに見てないわけですね。認識してない。で、これを踏まえて何が言えるかというと、「現状の外側に何としてでも到達したいゴールを見据えることで、それが自分にとって重要なものとなり、そのために必要なものが勝手に目に飛び込んでくる」、こういうことになります。

つまり自分にとっての重要度のランキングが無意識のうちに入れ替わって、その一位のものにまつわる情報が入ってくることになります。情報に限らず、「今はこれをやりたい、いやどう考えてもこれにエネルギー注ぐべき」って言うものが出てきます。

というか今までやってたことの順位が下がるわけなので、それをやってる時間が無意味に思えてきて、今の自分が本当にやるべきことに時間を割きたくなるということですね。

一つ目のやり方と合わせて考えるとより効果的

ここまでくると一つ目に紹介したものともつながってきます。

自分にとって重要な価値観だったり、これからの人生において常に気を配っていく課題を言語化することで、今の自分がやるべきこと、実際はやるべきというよりやりたいことになると思いますが、そういうものが浮かび上がってくる。こういうイメージですね。

僕で言えば、友達と遊んだり人と関わる時間が一番大事になった時期があったのもそうですし、ブログを始めたのも、現状の延長にない理想の未来やそうありたい人生のようなものを想像した時に、情報発信が必須の活動だと思えたからなんですね

思えたというかやらざるを得ないというかやりたいというか。逆にそれまで当たり前みたいにしっかりやってた大学の勉強は、優先順位が一気に下がってそれなりでいいやって思うようになりました。ゴールに必要ないものは勝手にそうなるんですね。

で、「この一見不可能に思えるゴールを自分は達成できる人間である」と自分で評価する能力を、”エフィカシー”というわけです。ゴール達成能力の自己評価ですね。これを高く維持できていないと「ああもう無理だ」ってなってしまうということです。

コーチングというのは、こういうゴール設定をコーチと呼ばれる人と多分やっていくんですね。僕はコーチみたいな存在を一切信用してないのであれなんですけどもw、でもこれを日本に持ってきたおおもとの苫米地英人氏の本はめっちゃ読んだので、こっちはおすすめできます。

kindle unlimitedに入ってると多分半分以上は無料で読めるので、もっと体系的に知りたいという場合は読んでみてください。あとはyoutubeもチャンネルがあったと思うので、そちらでもいいかもしれません。

いくつかのジャンルのゴールを持つ事の意味

そして、これをこのタイミングで紹介したほうがいいかと思った理由なんですが、ここで言うゴールは人生のいろんな分野に設定するのがいいとされてるんですね。

じゃないと、例えばお金の部分だけをゴールにしてしまうと、それは達成されたけど他がぐちゃぐちゃってこともあり得てしまいますよね。不幸な人はそこのバランスが崩れてるんだと思います。

あとはそれが逆にスコトーマになってしまって、実は自分の人生を豊かにする可能性があったものを見落とすこともでてくるかもしれません。最低8個ぐらいあるといいって言われていて、仕事、家族、恋人、人間関係、ファイナンス、社会貢献、趣味、生涯学習あたりから設定していく感じですね。

趣味とかは複数あったりするものだと思うので、各カテゴリーの中でもっと細分化されていてもよくて。ちなみに僕はすべてのカテゴリーのゴールを言語化できてはないです。だからあんまり大きくは紹介していませんでした。

でも今のKさんの場合で言うと、一つ目のやり方で丸ごと統合するのが難しかったり、今日からどんなことをやっていくかが見えにくかったりした場合に、こういう風にジャンルを分けてゴールを考えていくのもいいかもしれないです。

スコトーマが外れて「今の自分にとって大事なもの」=「これからやっていくこと、やっていきたいこと」が出てきやすいかなと思って紹介しました。

で、僕はここまで細分化してゴールを考えたりはしてないんですが、この中の大部分を情報発信の活動に詰め込んでるイメージで取り組んでいたりします。

だから僕にとっては、この活動にエネルギーを注ぐことが自分の人生のいろんな側面のゴールと結びついてる感じですね。むしろそういう風に捉えて情報発信をやっていこう、みたいなことも言ってたりするわけですけども。

まとめ

まあそれはいいとしてw、次はここまで見てきた感じで考えてみるのがいいかと思うんですが、いかがでしょう。

おすすめは一つ目の考え方に則って、各イベントやキーワードが自分のどんな態度・振る舞い・行動が招いたものなのかを掘り下げていくことで、人生の核的な部分を抽象的な概念で一つにまとめてしまう。

その上で余裕があれば、もしくはそれでもこれから何をしていくか、どう生きていくか見えて来ない場合は、ジャンルごとのゴールを考えてみてもいいと思います。

今いくつかのキーワードが見えてきてるのはめっちゃいい感じなので、あともう一歩だけ考えてみたいところです!

高本

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