最近『S.W.A.T.』というアメリカのドラマを見てて、これのシーズン6に入ったんですが、ふと見せ方が素晴らしいなと思いまして。
というのは、筋書きを考えるのももちろん簡単ではないでしょうが、それをどう伝えるかは別の視点が必要で、そこがボーっと見てて上手いなと思った。
冒頭がswat隊員が犯罪組織の敵に捕らわれている場面から始まり、そこから24時間前に場面が変わるという流れ。この構成自体は各所であるあるです。
その後は登場人物たちが何気ない会話をしているだけでも、先に後の展開を見てるこちらとしては、「これがあいつで、さっきの子どもはそういう事情があったのか」とかそういうことを推測しながら見ていくことになる。
それで思ったのが、そうやって予測しながら見ていけるのがドラマ作品として面白いってことなのではないかということ。
先に予想すると時間当たりの経験情報量が大きい
今見てたくだりに限らずこのシリーズの中で、例えば事件現場で警官とそこに巻き込まれた女性の会話があったとして、
そこで一瞬変な間があると「ここで恋愛が始まっていくのだろうな」とか思ったりするわけですね。「こいつ裏切るな」とか。
そういう予想ができるのは多分楽しくて、で、その予想は裏切られてもいいのです。結果としてあってるか間違ってるかではなくて、予想を立てながら見ることができ、実際にはどうだったのかも随時確認していけるからその視聴体験が面白くなる。
昔友達とキングオブコントの優勝者だけでなく全コンビの順位を予想してから見てみたんですが、いつも誰が優勝するかしか興味がなかったのが、各コンビの順位まで気にすることになった。
見る視点が追加されて、時間に対するこっちの意識の情報量というか密度がぐっとなる。
裏を返すと、途中で見るのを止めたくなる作品に多いのが何の前振りもなく急に話が展開する、そんなんありですか系のやつ。
つまり、予想があってるか外れてるかはどうでもいいのだが、予想もしてないのに外から急に「実はこうでした」「急に寝返ってみました」は盛大に冷めます。
予想できたうえで裏切られたい
それでまた思いだしたのが昔見たカイジの映画で、と言っても初期の方ではなくて割と最近めの、確か広瀬すずがヒロインでした。
なんですが、そのポジションが映画のために作りました感丸だしなのです。
そもそもカイジは敵と勝負する中でのリアルタイムの駆け引きやその心理描写が醍醐味ですが、その映画ではあと出しがやたら多かった記憶があり、
一対一のだまし合い裏のかき合いが始まりそうなところで急に、「実はこの勝負が始まる前に広瀬すずがこっそりこんな仕掛けを施していたのでした~」ってなったり。
それも序盤で「おや?」って思わせてくれる一コマがあれば納得できますが、そういったことも特になくてその瞬間になっていきなりは、そんなんなんでもありですやんとなってしまいかねない。
話を戻すと、だから誰か重要人物が死ぬなどの一気にピークに持って行きたい場面で振りなしで展開するのはわかりますが、随時それだと常日頃予測していたい脳にとっては負荷が大きい。
予想できたうえで裏切られたいのであって、何も構えていないところから突拍子もなく予想外の一撃が飛んできてほしいわけではない。
というか野生でそんなことが起きたら致命的なわけで、だからそれが心地いいように設定されているわけがないのかもしれない。
脳ニモマケズ
この予測したいというのも一つ大きなポイントで、脳科学の自由エネルギー理論とか、古くはグレゴリー・ベイトソンが考えていたような話に繋がってきそうです。
もっと言えば、そうやって予想通りになったりならなかったりしたい脳に従いすぎると、行動する前から勝手に先を想像し、その勝手に生まれた不都合なイメージのために取りやめてしまったりもする。
こんなものはただの脳の習性なのだからエンタメとして楽しめばいいもので、「それに真に受けて内なる欲望やそれに即した流れやアクションを歪められないようにされたし」って感じですよね。
というわけで見てられない作品と脳の推論の話でした。
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