『梅原猛の授業 仏教』という本で自利とか自他の話が出てくるんですが、これおもろいです。
大乗仏教の特徴は「自利自他」にあると梅原氏は言います。
大乗仏教と小乗仏教の違い
そもそも大乗仏教と小乗仏教の違いは、その言葉の通り、大きな船に乗るか小さな船に乗るか、つまりみんなで悟りを目指すか一人で悟ろうとするのかの違いです。
その大乗仏教の特徴として「自利自他」があるというわけです。
お釈迦さんは山に籠って悟りを開いた後、その山を下りてみんなに悟りの道を説いたとされてます。それが大乗ってことですね。
この辺りは仏教関連の入り口のところでよく出てくる話なんですが、そんなことよりも、この本の最後の方に
そしてこのような遺伝子は、自己を生き永がらえさせようとする自利の要素と、自分を犠牲にしても子孫を残そうとする利他の要素をもっている。
とありまして、これが面白いのです。
「生存」「繁殖」と「自利」「自他」
前回の記事で欲望の本質とその表現は一致してないって話を書いたんですが、そもそもこの本質って何なのかというと、一つの見方として、生物の進化の流れからは「生存」と「繁殖」だと考えられます。
これについても以前進化心理学絡みの記事を書いた気がしますが、いろんな欲求はここに行きつくという見ることができます。
それこそ広告でも金持ちになるとかモテるとかに訴えかけてくることが多いですが、それはそれによって生存度が高まったり、よりいい感じに繁殖できるというのが生物の根源にあると考えられるからです。
なんですが、これがそのまま自利と自他にそれぞれ直結してるってことなのです。
つまり、進化心理学的に考えたときの人間の根源的な欲求である「生存」と「繁殖」は、そのまま自利と自他に当たるのではないか、
人はその欲望として「自分のため」と「誰かのため」の両方を原初の欲望として持っているのではないか、ってことなのです。
まあ遺伝子由来で考えると人間に限ったことではなくなりますけども。
ちなみに動物の利他性については、上の引用に続いてこんな感じで書かれてます。
遠く離れた海の彼方から自らが生まれた川に帰って卵を産んで死ぬ鮭には明らかに利他の精神がある。生きとし生けるものはみな自ずからこのような利他の精神を宿している。遺伝子そのものに仏教のいう自利自他の要素が含まれるのである。自分を犠牲にしても子孫を残そうとする利他の精神はやがて家族を超えて国家や人類にまで及ぶ。
とにかく、「生物としての遺伝子の性質それ自体が自利と自他の両面を併せ持っていた」っていう見立てはめっちゃおもろいですよね。
道徳とか倫理として「”人のため”を考えるのが大事」とかではなく、生物が生物である限りそれを欲望するのかもしれないってことです。
そうなると倫理として「みんな人のために何かしていきましょう^^」とかじゃなくて、むしろそうしていないことは生物として不自然ってことになります。
不自然だと基本的には気持ちよくないです。ベースの感覚のところではなくて理屈方面に偏ってるからです。
▶「理屈ではなく感覚に従う」ことが「脳ではなく腸に従う」と言える理由
自他のための自利
ちなみに「自利利他」のここでの「自利」は、より詳細に見てみると、
「人のためばかりでなく自分のためってのももちろん大事ですよね」「利他のない自利だけはよくないですよね」ってことでもなくて、意味としては「利他のための自利」が近いんですね。
他人に利益するためには自利が先に来てないとそれは難しいし続きもしないわけで、自利が転じて利他になるとか、自分が潤っているからそこにいる他者にも潤いが出てくるとか、そういったニュアンスなのです。
▶価値提供するだけの情報発信が破綻する世界で歩みを止めず進み続ける方法
それは所ジョージがペンキ塗り一つとっても人がそこに集まってくるぐらい楽しそうにやれってどこかで言ってたのもそういう話で、
真っ先に自分が楽しんで楽しくてそこで利益を得ている、そして潤ってるからこそ、そのみずみずしさが人を引き寄せ彼らはびちょびちょになるのです。
というわけで、生物としての自然な行いには自他が含まれているのだろう、そしてそれは自利の追求からしか始まらない、という話でした。
この辺の自他ニュアンスについてはこちらなど。
自利の追求探求についてはこのあたりでしょうか。
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